●子宮頸がんを予防する方法はありますか?

 子宮頸がんの予防方法は、HPVワクチンを接種することで、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防することが挙げられます。また、子宮頸がん検診を定期的に受けることで、がんになる過程の異常(異形成)やごく早期のがんを発見し、医師と相談しながら、経過観察したり、負担の少ない治療につなげたりすることができます。

●HPVワクチンの接種はどのようなものですか?

 小学校6年~高校1年相当の女子は、予防接種法に基づく定期接種として、公費によりHPVワクチンを接種することができます。
 現在、公費で受けられるHPVワクチンは2種類(サーバリックス、ガーダシル)あります。間隔をあけて、同じ種類のワクチンを合計3回接種します。接種するワクチンによって接種のタイミングが異なります。どちらを接種するかは、接種する医療機関に相談してください。
 また、平成9年度生まれ~平成17年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2006年4月1日)の女性の中で、定期接種の対象年齢(小学校6年から高校1年相当)の間に接種を逃した方には、あらためて公費での接種の機会を提供しています。詳しくは「HPVワクチンの接種を逃した方へ~キャッチアップ接種のご案内~」をご覧ください。

●HPVワクチンは絶対に受けなければならないものですか?

 HPVワクチンの接種は予防接種法に基づいて実施されており、国内外の研究結果から、HPVワクチン接種による子宮頸がんの予防効果などのメリットが、副反応などのデメリットよりも大きいことを確認して、皆さまに接種をお勧めしています。
 しかし、接種は強制ではなく、あくまでご本人の意思に基づき接種を受けていただくものです。接種を望まない方に接種を強制することはありません。また、接種対象者やその保護者の同意なく、接種が行われることはありません。
 実際に予防接種を受ける際は、ワクチンの効果とリスクを十分に理解した上で、受けるかどうかご判断ください。ワクチンの効果とリスクについてはHPVワクチンに関するリーフレットもご参照ください。
 また、HPVワクチンについて不安や疑問があるときは、お住まいの都道府県に設置された相談窓口にご相談いただけます。

●HPVワクチンは何回接種すればよいですか?

 HPVワクチンは、3回の接種が必要です。
 公費で受けられるHPVワクチンは(サーバリックス、ガーダシルともに)、3回の接種を、次の①または②の接種間隔で行います。
①標準的な接種間隔
サーバリックスについては、1回目の接種を受けた1か月後に2回目を、6か月後に3回目の接種を受けます。
ガーダシルについては、1回目の接種を受けた2か月後に2回目を、6か月後に3回目の接種を受けます。
サーバリックス、ガーダシルともに、1年以内に接種を終えることが望ましいとされています。

②標準的な接種方法をとることができない場合の間隔
 ①の標準的な接種間隔以外でも、小学校6年生から高校1年生相当の年度の間に、公費で以下のとおりHPVワクチンを受けることもできます。
 サーバリックスについては、1か月以上の間隔をおいて2回接種し、1回目の接種から5か月以上かつ2回目の接種から2カ月半以上の間隔をおいて3回目の接種を受けます。
 ガーダシルについては、1か月以上の間隔をおいて2回接種し、2回目の接種から3か月以上の間隔をおいて3回目の接種を受けます。
サーバリックス(2価HPVワクチン)とガーダシル(4価HPVワクチン)の標準的な接種スケジュール

●HPVワクチンの定期接種の対象年齢を過ぎてからでも、接種できますか?

 定期接種の対象であった方々の中には、HPVワクチンの公費での接種機会を逃した方がいらっしゃいます。こうした方に、公平な接種機会を確保する観点から、定期接種の対象年齢(小学校6年から高校1年相当)を超えて、あらためて公費での接種の機会をご提供しています。
 平成9年度~平成17年度生まれ(誕生日が1997年4月2日~2006年4月1日)(※)の女性で、過去にHPVワクチンの接種を合計3回受けていない方が対象です。対象者は、令和4(2022)年4月~令和7(2025)年3月の3年間、HPVワクチンを公費で接種できます。詳しくは「HPVワクチンの接種を逃した方へ~キャッチアップ接種のご案内~」をご覧ください。
(※)このほか、平成18・19(2006・2007)年度生まれの方は、通常の接種対象の年齢を超えても、令和7(2025)年3月末まで接種できます。
 対象者に該当しない方でも、任意接種としてHPVワクチンを接種することは可能です。お近くの医療機関などにご相談下さい。ただし、この場合、予防接種法に基づく定期接種(公費での接種)の対象ではないため、接種費用は全額自己負担となります。

●HPVワクチンはどれ位効くのですか?

 公費で受けられるHPVワクチンは、子宮頸がん全体の50~70%の原因とされる2種類のヒトパピローマウイルス(16型と18型)などの持続感染等に対して予防効果をもつワクチンです。海外や日本で行われた疫学調査(集団を対象として病気の発生などを調べる調査)では 、HPVワクチンを導入することにより、子宮頸がんの前がん病変を予防する効果が示されています。また、接種が進んでいる一部の国では、子宮頸がんそのものを予防する効果があることも分かってきています。

●公費で受けられるHPVワクチン以外にも、日本で接種できるHPVワクチンはありますか?

 現在、公費で受けられる(定期接種の対象となっている)HPVワクチンは、サーバリックス(2価HPVワクチン)とガーダシル(4価HPVワクチン)の2種類です。この他のHPVワクチンとして、シルガード9(9価HPVワクチン)があります。
 シルガード9は2021年2月から日本国内で販売が開始されているため、任意接種として接種することは可能です。シルガード9の接種費用は全額自己負担となります。
 シルガード9(9価HPVワクチン)の詳細については「9価HPVワクチン(シルガード9)について」をご覧ください。

●HPVワクチンについて、がんを予防する効果は証明されていないのですか?

 子宮頸がんは、数年から数十年にわたって、持続的にヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した結果として発症するとされています。
 海外や日本で行われた疫学調査(集団を対象として病気の発生などを調べる調査)では 、HPVワクチンを導入することにより、子宮頸がんの前がん病変を予防する効果が示されています。また、接種が進んでいる一部の国では、子宮頸がんそのものを予防する効果があることも分かってきています。

●HPVワクチン接種後に副反応はありますか?

 HPVワクチン接種後に見られる主な副反応として、発熱や接種した部位の痛みや腫れ、注射による痛み、恐怖、興奮などをきっかけとした失神などが挙げられます。

 また、ワクチン接種後に見られる副反応が疑われる症状については、接種との因果関係を問わず収集しており、定期的に専門家が分析・評価しています。その中には、稀に重い症状の報告もあり、具体的には以下のとおりとなっています。

●HPVワクチンを受ける際に注意することはありますか?

 次のいずれかに該当する方は、特に、健康状態や体質などを担当の医師にしっかり伝え、予防接種の必要性、リスク、効果について十分な説明を受け、よく理解した上で接種を受けてください。
●血小板が減少している、出血した際に止まりにくいなどの症状のある方
●心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害などの基礎疾患のある方
●予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた方
●過去にけいれんの既往のある方
●妊娠又は妊娠している可能性のある方
●ワクチンを接種した後や、けがの後等に原因不明の痛みが続いたことがある方
 また、接種部位には主に、腕の肩に近い外側の部分(三角筋)が選ばれるので、接種当日はこの部分を露出しやすい服装にしてください。

●新型コロナワクチンを接種した(したい)のですが、HPVワクチンと同時期に接種することはできますか?

 原則として、新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種できません。互いに、片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます。
ただし、本年(2022年)夏にインフルエンザワクチンと新型コロナワクチンは同日接種が可能となっております。
 詳しくは「新型コロナワクチンQ&A」をご覧ください。

●HPVワクチン接種後に注意することはありますか?

 針を刺した直後から、強い痛みやしびれが生じた場合は、担当の医師にすぐに伝えて、針を抜いてもらうなどの対応をしてもらって下さい。また、その後の対応についても相談してください。
 予防接種直後に、注射による痛み、恐怖、興奮などをきっかけとした失神が現れることがあります。失神し、倒れて怪我をする例も報告されているため、接種後の移動の際には、保護者の方が腕を持つなどして付き添うようにし、接種後30分ほどは体重を預けられるような場所で、なるべく立ち上がることを避けて、待機して様子を見るようにしてください。
 その他、予防接種一般に言えますが、予防接種当日は激しい運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の体調管理をしっかり行ってください。接種部位の異常や体調の変化、さらに高熱、けいれん、長期間持続する激しい痛みなどの異常な症状を呈した場合は、すぐに医師の診察を受けてください。
 また、接種後に気になる症状が現れたときは、以降の接種を中止、延期することが可能です。気になる症状があれば、担当の医師に相談してください。