◆一般外科
1.概要
当外科では、食道、胃、小腸、大腸、肛門、肝臓、胆のう、膵臓、脾臓、甲状腺などの臓器の疾患に対して、患者様の諸条件、要望をふまえて適宜、手術療法、カテーテルを用いた治療、内視鏡治療、焼灼療法、局所注入療法、薬物療法などを駆使して治療しています。
2.扱っている主な疾患
① 食道、胃、腸、肛門の疾患
逆流性食道炎:薬物療法が中心ですが、難治性の場合などは手術療法も考慮します。
食道静脈瘤:内視鏡を用いた結紮術(EVL)や硬化療法を行います。
慢性胃炎:薬物療法。ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)陽性の場合は除菌を行います。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍:薬物療法でほとんどの場合治療可能です。出血性の場合は内視鏡下の止血術を考慮します。ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の除菌も行います。手術療法は、現在では穿孔した場合(潰瘍が深く胃壁や腸壁に穴が開いてしまった状態)、内視鏡などで止血が困難な場合、狭窄(引きつれて中が狭くなり食べ物が通らなくなった状態)などに限られます。
胃癌:手術療法、化学療法(抗癌剤など)を適宜組み合わせて治療します。ごく早期のものは、内視鏡的治療(粘膜切除術、粘膜下層剥離術)も行います。
大腸ポリープ:内視鏡的切除をおこないます。
大腸癌:手術療法、化学療法を適宜組み合わせて治療します。ごく早期のものは内視鏡的治療も行ないます。
炎症性腸疾患:潰瘍性大腸炎やクローン病が主なものです。薬物療法が中心ですが、薬で制御不可能な場合など手術が必要になることもあります。
大腸憩室炎:憩室とは大腸にできた落とし穴のような窪みのことを言いますがそこに起こる炎症が憩室炎です。点滴治療などで多くは治癒しますが、度々起こす場合や、穿孔(穴が突き抜けてしまった状態)した場合は手術も考慮します。
虫垂炎:昔から盲腸などと言われ有名ですが、抗生剤の点滴で治癒できることも少なくありません。状態により手術が必要となることもあります。
腸閉塞:腹部手術を受けたことのある方に起こることが殆どです。絶飲食で点滴治療を行ない、必要に応じて、胃管(胃に入れる管)、イレウス管(腸まで入れる管)を用い、改善しない場合は手術療法が適応されます。
痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔):薬物療法や、場合により手術療法が行なわれます。
肛門周囲膿瘍、痔瘻:切開排膿や、瘻孔切除、開放などの手術療法が行なわれます。
② 肝臓、胆道、膵臓の疾患
ウイルス性肝炎:特に問題となるのはB型肝炎、C型肝炎です。抗ウイルス療法としてB型慢性肝炎ではインターフェロンや核酸アナログ製剤が、C型慢性肝炎ではインターフェロンと経口薬の併用やインターフェロンを用いない経口抗ウィルス薬が使用されます。患者様の条件によって使用法や期間が異なりますのでご相談下さい。なおこれらの治療には医療費助成の制度があります。これらの治療が適応外の場合は肝炎を落ち着けるための肝庇護療法(注射薬や経口薬)を行います。これらの肝炎はほっておくと肝硬変や肝癌に至る恐れがありますから、そうなる前に対処が必要です。
非アルコール性脂肪性肝疾患:メタボリック症候群の肝炎と考えられ、飲酒をしないのにもかかわらず脂肪肝と肝炎がおこる疾患です。減量が第一ですが、場合により薬物療法を併用することもあります。一部に肝硬変や肝癌に至る場合がありますから要注意です。
肝硬変:肝臓の働きが低下してくると、むくみ、腹水などを生じ、意識障害がおこることもあります。アミノ酸の薬やタンパク製剤、利尿剤などが適宜使用されます。糖尿病、食道静脈瘤や肝癌の合併にも注意が必要です。
肝癌:多くはB型肝炎、C型肝炎が原因の原発性肝癌と、大腸など他臓器の癌が転移して起こる転移性肝癌があります。状況に応じて切除手術、エタノール局注療法、ラジオ波焼灼療法、肝動脈塞栓術、肝動注療法、化学療法などから最も適したものを一つあるいは複数選択して施行します。
胆石症:有症状の場合は手術(主に腹腔鏡下手術)の適応となります。胆管に石がある場合には、内視鏡下に採石を行うこともあります。
胆嚢ポリープ:大きいものは手術の対象になることがあります。
胆嚢炎:抗生剤投与や場合により手術の適応となることもあります。
胆嚢癌:手術が主ですが、よほど早期でないと根治は難しい状況です。
胆管癌:手術が中心ですが、状況により胆道ステント留置や化学療法が考慮されることもあります。
急性膵炎:多くは点滴治療を行います。中には重症化して、大学病院などでの集中治療が必要となることがあります。
慢性膵炎:禁酒程度の対処でよい比較的軽いものから、糖尿病などの合併症の治療が必要になるものや、手術を要するものまで状況により様々です。
膵のう胞性疾患:経過観察のみでよいものから、腫瘍性のものでは手術の対象になることがあります。
膵癌:手術が主ですが、根治の難しい癌の一つです。化学療法も行ないます。
③ その他
後腹膜腫瘍:多くは手術の対象となります。
甲状腺腫瘍:大きいものや悪性のものでは手術を行います。