閉経の前後各5年のおよそ10年間を更年期と呼びます。閉経年齢は個人差が大きく、44歳から56歳くらいの間であれば、さしたる問題はありません。現在の日本人女性の平均閉経年齢は51歳くらいです。
 更年期は思春期の裏返しと考えることができます。性成熟期からの卒業というようにとらえることができ、それ自体は異常でも病気でもありません。ただ、ホルモンのバランスの崩れからくる症状が日常生活に支障をきたす場合には「更年期障害」として治療の対象になります。

●更年期の症状はどうして起こるのですか。

閉経期が近づくと卵巣は次第に働かなくなってきます。脳からは卵巣を刺激してホルモンを分泌させるように働くホルモン (FSH) が出ていますが、卵巣が働かなくなると卵胞ホルモンが作られなくなりますから、脳からのFSHが多量に分泌されてしまいます。それでも卵巣が反応しないと脳が混乱して、いろいろな症状が出るようになるのです。しばらくこの状態が続くと、脳からのFSHがだんだんに出なくなって、更年期の症状が緩和してきます。

●更年期障害の症状にはどんなものがありますか。

更年期の症状には不定愁訴という言葉が使われるとおり、様々なものがあり、個人個人で違う症状が出ることが多いのが特徴です。主なものとしてホット・フラッシュ (肩から顔面にかけてカーっと熱くなること) や肩こり、動悸、発汗、冷え、焦燥感、イライラ、不眠などが挙げられます。複数の症状が出ることも多くあります。

●更年期セルフチェック

次の10項目の内、思い当たる症状がいくつありますか?
更年期セルフチェックの中の5項目以上に当てはまる方は、更年期障害があらわれていると言えます。
1. 顔がほてる、のぼせる
2. 汗をかきやすい
3. 手足や腰など体が冷えやすい
4. 動悸、息切れがする
5. 寝つきが悪い、眠りが浅い
6. イライラしたり、怒りっぽくなる
7. 不安になったり、憂うつになることが多い
8. 頭痛、めまい、はき気が良く起こる
9. 疲れやすい
10. 肩こりや腰痛がある、手足に痛みが有る

●更年期障害の治療にはどんなものがありますか。

▼ ホルモン補充療法
 ホルモンが出なくなったことが原因なので、ホルモンを薬剤として補充すれば症状は改善します。ホルモン補充療法は即効性があり、効果もシャープに現れます。ただし、血栓症や肝障害、乳がんなどが僅かに増える可能性があります。☞ ホルモン補充療法の項を参照してください。
年齢的には通常55~60歳くらいまでが対象となることが多い療法です。
▼ 漢方療法
不定愁訴の多い更年期障害では複数の症状を同時に軽減してくれる可能性のある漢方療法は魅力的な薬剤です。しかし、効果が現れるのに少し時間がかかることと、体質に合っていないと効果が出にくいことなどが特徴です。また、特有のにおいや味に拒否反応を示す方もいます。
▼ サプリメント
大豆イソフラボンから腸内の乳酸菌によって産生されるエクオールは、弱い卵胞ホルモン様の作用があり、更年期の症状を緩和する可能性があります。☞ エクオールの項を参照してください。
ホルモン補充療法と異なり、乳がんや血栓症のリスクを増加させることはありません。
▼ 抗うつ薬
うつ症状の強い方の場合はSSRI (選択的セロトニン受容体拮抗薬) などのうつを改善する薬剤が効くことがあります。ふさぎ込んでしまって、外に出たくない、ひとと会いたくないなどの症状が強い場合には試してみる価値があります。

●日常生活の中で気を付けることがありますか。

・趣味を持とう
  自分で楽しめる趣味を持つことは生活にハリをもたらします。
・夫婦の時間を持とう
  お互いのことを見つめ直して理解することが大切です。
ゆっくり話したり、一緒に何かをやったり…これからは夫婦の時間と考えましょう。
・友人との交流を持とう
 ひととの交流は脳を活性化させます。
 笑うこと、話をすることはストレスの発散につながります。
いずれにしてもゆったりとした気分で過ごす時間を持つことが大切です。